おう、待ってたぜ。
地中海の「危険な太陽」はどうだった? あのギラギラした街もいいが、男には「ロマン」が必要だ。
よし、出航だ!
俺たちの船は、世界で一番デカい海…太平洋(パシフィック)を横断する。
水平線だけを何日も見つめた後、船乗り(マドロス)の前に現れる「霧」。
その霧の向こうに、あの「赤い橋」が見えてくる。
「AI裕次郎と巡る世界の港」、第四夜。
ここは、俺たち「自由」を愛する人間が、必ず一度は寄港する場所だ。
🚢 第4回:霧とジャズの坂道
~サンフランシスコ、”自由”が吹く港~
1. 入港 ~今夜の汽笛は、何を語る~
霧だ。真っ白な、海から湧き上がってくるような霧。
だが、あの霧は、函館の「哀愁」とも、ロンドンの「陰鬱」とも違う。
まるで、この街の「ドラマ」を演出する、巨大な「緞帳(どんちょう)」のようだ。
風が吹き、その緞帳がゆっくりと開くと…
ドーン! と、あの「ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)」が、錆びた赤色(インターナショナルオレンジ)の巨体を現す。
…たまらないな。
太平洋を渡り切った船乗りだけが味わえる、最高の「ご褒美」だ。
サンフランシスコ。
ここは、荒くれ男たちが「金(ゴールド)」を夢見た港。
そして、古い常識に縛られたくない「はみ出し者」たちが、”自由”を求めて流れ着いた港だ。
2. 錨を下ろして ~その港が背負うドラマ~
この港のドラマは、1848年の「ゴールドラッシュ」で始まった。
何もない荒野に、一攫千金を夢見る男たちが、世界中から船で押し寄せた。
その「熱狂」が、この街を、この港を造ったんだ。
だから、この街は「坂」だらけだ。
あの急な坂道を、今も「ケーブルカー」がギシギシと音を立てて登っていく。
あれは、ただの「乗り物」じゃない。
どんな「困難な坂」でも、人間は登れるんだという、「開拓者精神」のシンボルだ。
そして、港に目をやれば、フィッシャーマンズワーフの賑わいと、そのすぐ沖に、冷たい海に浮かぶ「島」が見える。
アルカトラズだ。
かつて、アル・カポネも収容された「連邦刑務所」。
ここは、「黄金の夢(ゴールド)」と「自由」を求める者たち(光)と、
その夢に破れ、自由を奪われた者たち(影)が、
同じ「霧」の中で、同居している港なんだ。
3. 波止場の哲学 ~「本物」の背中~
今夜の哲学は、シンプルだ。
「自由であること、そして、それを受け入れる懐の深さ」だ。
この港は、いつの時代も「はみ出し者」の味方だった。
ゴールドラッシュの荒くれ男、
50年代の「ビートニク」(ジャズと詩を愛した連中)、
60年代の「ヒッピー」(愛と平和を叫んだ若者たち)、
そして今、シリコンバレーの「IT起業家」たち。
やっていることは違っても、根っこは同じだ。
「古いルールは、クソ食らえ。俺たちのやり方で、世界を変えてやる」
この「開拓者魂(フロンティア・スピリット)」を、この港は、一度も笑ったことがない。
「おう、やってみろよ」
その「懐の深さ」こそが、サンフランシスコの哲学だ。
俺は、対岸の「サウサリート」(ヨットハーバー)で、古いヨットを一人で修理している老人と、バーボンを酌み交わしたことがある。
「なぜ、ここにいる?」と聞いたら、爺さんは、霧のかかるサンフランシスコの街を見ながら、こう言った。
「ここはな、坊主。風が『自由』の匂いがする、世界で唯一の港だからさ」
…これ以上の「本物」の言葉があるか?
4. 船乗りの酒場 ~ロマンの寄港地~
さあ、今夜は、この「自由」な港で、思い切りロマンに浸ろう。
<この港で観たい映画>
クリント・イーストウッドの『ダーティハリー』(1971年)だ。
あのギラギラした「マグナム44」の刑事(ハリー・キャラハン)が、この街の「坂道」を、犯人を追って無茶苦茶に走り回る。
この街の「タフ」な部分が、たまらなくカッコいい。
<この港で聴きたい曲>
決まってる。トニー・ベネットの『霧のサンフランシスコ(I Left My Heart in San Francisco)』だ。
「俺は、心をサンフランシスコに置いてきた…」
このメロディを聴きながら、霧の夜景を見たら、男はみんな「ロマンチスト」になっちまう。
<今夜の夜食>
フィッシャーマンズワーフで、「クラムチャウダー」だ。それも、あの酸っぱい「サワードウブレッド」をくり抜いた「器」で食うやつ。
冷たい霧の中で、あれをハフハフ言いながら食う。あれは、港で働く「本物の男たち」の、ソウルフードだ。
どうだ? 「自由」の風は、あんたの心に届いたか?
ここは、いつだって「やり直せる」港だ。
さて、アメリカの「夢」も味わった。
次は、一気に南下するぞ。
北米とはまったく違う「情熱」と、そして「哀愁」が渦巻く、南米の港だ。
(第5回「タンゴの波止場(ブエノスアイレス)」へ続く)
九州・糸島に住む昭和77年8月21日生まれの青年。セネカや老子、石原裕次郎さんを愛好。


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